空を見上げる2019.10.01 04:44 先月、大阪でドキュメンタリー映画『妻の病 ーレビー小体型認知症ー』を上映し、監督の伊勢真一さんと対談をした。世界アルツハイマーデー月間の行事である。上映前に監督と昼食を共にして雑談した。 「映画の仕事の前は、大工になろうと思って修行してたんですよ。ある日、親方に呼ばれて、大工は...
やりたいこと、やれること2019.09.01 04:54 ある店先に張り紙がしてあって「やりたいこと、やれることは違う。それを見分けることが大切だ」と書いてあった。誰かの言葉らしい。そりゃ、そうでしょう、と納得しかけたが、いや待てよ。ついこの間、認知症の人の家族と話し合ったことを思いだした。その家族は「認知症になって、どんどんできなく...
息を聴く2019.07.01 04:32 ドキュメンタリー映画『えんとこの歌 ー寝たきり歌人・遠藤滋ー』を観た。伊勢真一監督の最新作で、これから各地で上映会が始まる。一生考え続けるほどのメッセージを贈ってくれたこの作品について、どうしても伝えていきたい。この映画は1999年の映画『えんとこ』の続編にあたる。重い脳性麻痺...
伴侶としての「家族」2019.07.01 04:276月の西川さんの話に「入居者のことを知るためには家族のことも知っといた方がよい」という件がありました。人ひとりを「知る」のは途方もない作業です。会話を通じて相手を知ろうとしても自分がおしゃべりでないと難しいし、相手が無口だったり話せない場合はなおさら困難です。ことば以外の表情なん...
なじむ時間2019.06.03 05:37 前回の西川さんの講演のテーマは「わかる」でした。「知識を得る」のと「わかる」のは違う。西川さんは『星の王子さま』のキツネの言葉を引用していました。「自分が<なじみになる>ものしか人は知ることはできないんだよ」と。 あなたの職場で何か問題が発生したとします。中には問題をすばやく判...
久しぶりに読んだ本2019.06.03 05:36 ぼくは1957年に生まれた。その年のノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュの著書『シーシュポスの神話』(清水徹訳、新潮文庫)を、はじめて読んだのは15歳だった。難しくてよく分からなかったが、わずか7頁の「シーシュポスの神話」には胸を撃たれた。 休みなく岩を転がして山頂まで運...
連休中に思うこと2019.05.03 05:33 今年は10連休と言うことで、なにかと話題になっているが、ぼくには実感がない。というのも、勤めを辞めて以来、世間の休日とは無縁というか、毎日が日曜日なのだ。何もすることがないという訳ではない。けっこう用事が続くこともある。だから暇でもないし退屈でもない。 考えてみると、休みって何...
午前3時半の星空2019.04.03 05:32 年上の友人から便りが来た。白内障の手術を受けて、驚くほど見えるようになったという。ことに夜空の星の多さに、帰り住んだ古里への誇りと愛が増したらしい。 三重県熊野市に移り住んだ老夫婦が営む農家民宿に泊まってきた。「何もないところですが、ゆっくりしてください」とご主人。手作りの野菜...
春が来た2019.03.03 05:29 引き出しの中に古い絵はがきがある。もう40年以上昔に倉敷の大原美術館で買い求めたものである。普段は思いだすこともないが、なんど引っ越ししても離れることなく僕のそばにある。セガンティーニの「アルプスの真昼」はお気に入りの絵だ。 3月に入ってすぐ、友人に会うために倉敷に行くことにな...
マスクで考えた2019.02.03 05:27 久しぶりに東京へ出かけた。用事まで時間があったので散歩してみた。代々木公園の近くをずいぶんと歩いた。そこで、道行く人とすれ違うわけだが、どうも奇妙な感じがする。ほとんどの人がマスクをつけているのだ。でも、病人らしくない元気な様子でおしゃべりしている。あまりにマスク姿のが多いので...
とつとつケチャ2019.01.01 05:25 砂連尾さんが、ケチャをすると言う。ケチャはバリ島のダンスだ。ぼくが昔、夜学の学生だった頃、宗教学の授業でケチャの話を聞いた。バリ島の儀礼で、踊りの中、男たちが「チャ、チャ、チャ」と繰りかえす。その声が幾重にも重なり、16ビートのリズムを刻む。16ビートというのは、ふつうには人間...
腹から出す声2018.12.01 05:20 11月のとつとつの課題は、喉ではなく腹から声を出すことでした。言葉ではなく声で気持ちを伝えようと試みます。なかなか上手くできません。「なんか、詰まった感じがして声が出ない」「大きな声を出しても、腹から出ていない」のです。私たちは言葉で気持ちを伝えようとします。言葉の意味は複雑多...