空を見上げる2019.10.01 04:44 先月、大阪でドキュメンタリー映画『妻の病 ーレビー小体型認知症ー』を上映し、監督の伊勢真一さんと対談をした。世界アルツハイマーデー月間の行事である。上映前に監督と昼食を共にして雑談した。 「映画の仕事の前は、大工になろうと思って修行してたんですよ。ある日、親方に呼ばれて、大工は...
島でインドの不思議をきく2019.10.01 04:429月最後の週、瀬戸内海の粟島(あわしま)に行ってきました。人口289人。70歳以上がほとんどの高齢化の島ですが、今年は3年に一度の芸術祭のスタートを数日後にひかえ、多くの若いアーティストたちが深夜まで作業を続けていました。ある夜、インド人画家マユールから、彼の出身部族ワルリの話を...
やりたいこと、やれること2019.09.01 04:54 ある店先に張り紙がしてあって「やりたいこと、やれることは違う。それを見分けることが大切だ」と書いてあった。誰かの言葉らしい。そりゃ、そうでしょう、と納得しかけたが、いや待てよ。ついこの間、認知症の人の家族と話し合ったことを思いだした。その家族は「認知症になって、どんどんできなく...
墓所あれこれ2019.09.01 04:37 先週末、たぶん十数年ぶりに東京タワーに昇る機会がありました。高いところから眺めると、ビルとビルの合間に三角形や台形の墓地がみえます。一度認識すると、360度どこをみても、隙間を縫うように存在する墓地たちが目に入ってきます。 電車に乗り家路についたわけですが、今度は車内広告に「新...
バスでの凍死と頭ふでばこ2019.08.01 04:33 こう暑いと20年前の南国での生活を思い出します。ぼくはそのころ調査と称して南太平洋のフィジー諸島の村で暮らしていて、いろんな「はじめて」を経験したものです。映画館の冷房の効きすぎはよくある話ですが、フィジーだと長距離バスも同じ。ただ映画と違って途中で降りることはできません。一度...
息を聴く2019.07.01 04:32 ドキュメンタリー映画『えんとこの歌 ー寝たきり歌人・遠藤滋ー』を観た。伊勢真一監督の最新作で、これから各地で上映会が始まる。一生考え続けるほどのメッセージを贈ってくれたこの作品について、どうしても伝えていきたい。この映画は1999年の映画『えんとこ』の続編にあたる。重い脳性麻痺...
伴侶としての「家族」2019.07.01 04:276月の西川さんの話に「入居者のことを知るためには家族のことも知っといた方がよい」という件がありました。人ひとりを「知る」のは途方もない作業です。会話を通じて相手を知ろうとしても自分がおしゃべりでないと難しいし、相手が無口だったり話せない場合はなおさら困難です。ことば以外の表情なん...
なじむ時間2019.06.03 05:37 前回の西川さんの講演のテーマは「わかる」でした。「知識を得る」のと「わかる」のは違う。西川さんは『星の王子さま』のキツネの言葉を引用していました。「自分が<なじみになる>ものしか人は知ることはできないんだよ」と。 あなたの職場で何か問題が発生したとします。中には問題をすばやく判...
久しぶりに読んだ本2019.06.03 05:36 ぼくは1957年に生まれた。その年のノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュの著書『シーシュポスの神話』(清水徹訳、新潮文庫)を、はじめて読んだのは15歳だった。難しくてよく分からなかったが、わずか7頁の「シーシュポスの神話」には胸を撃たれた。 休みなく岩を転がして山頂まで運...
聖地巡礼2019.05.03 05:3510連休。なぜかアイドルグループ嵐が全員出演した唯一の映画『黄色い涙』(2007年)のロケ地をめぐるツアーに参加しました。全国からシャッター商店街に集まった20人ほどの参加者。ぼく以外は35歳以上の女性。ガイドさんが「彼が座ったブロック」(路地の単なるブロック)とか「5人が天丼を...
連休中に思うこと2019.05.03 05:33 今年は10連休と言うことで、なにかと話題になっているが、ぼくには実感がない。というのも、勤めを辞めて以来、世間の休日とは無縁というか、毎日が日曜日なのだ。何もすることがないという訳ではない。けっこう用事が続くこともある。だから暇でもないし退屈でもない。 考えてみると、休みって何...
午前3時半の星空2019.04.03 05:32 年上の友人から便りが来た。白内障の手術を受けて、驚くほど見えるようになったという。ことに夜空の星の多さに、帰り住んだ古里への誇りと愛が増したらしい。 三重県熊野市に移り住んだ老夫婦が営む農家民宿に泊まってきた。「何もないところですが、ゆっくりしてください」とご主人。手作りの野菜...