最近、僕の周囲で「無理をしない」という言葉をよく聞きます。「無理をしない生き方」とか、「無理をしない恋愛」とか。基本、肯定的に使われることが多いようです。
僕はいろいろあって20代前半にはじめて一人異国を旅しました。目指したのは南国フィジーの村落部。でも誰かの紹介なくしては立ち入ることはできません。言葉もできない上に何のコネもなかった僕は、異国の路傍に座り、身ぶり手ぶりで道行く人に頼むしかありませんでした。人見知りだった自分には考えられない「無理をした」わけです。村に着けたとき、自分自身にびっくりしたのを覚えています。
辞書によると「無理」とは「道理に合わないこと」。つまり、自分の道理の外側に飛び出してみるには無理をするしかありません。そのときはじめて己を外から眺めることになります。なんとなく、それが生きることであり、恋愛することであり、なにより成長することではないかと思ったりもするのです。
豊平豪 2015年7月
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