狭まる世界と猫の毛と

1月半ば頃からなんだか体の調子がよくないぞと思い始め、いつもの風邪のときのようにひたすらじっとしていましたが、微熱のまま熱がひかず、鼻はぐしゅぐしゅだし、これはいよいよ病院へ行くしかないと重い腰をあげてみると、副鼻腔炎に中耳炎というおまけつき。

もう治りかけということで危険はないし、先生方も「はいはい」といった調子ですが、なんせ体はだるいし、処方された抗生剤の副作用なのか偏頭痛が続きます。

たいしたことなくても病気は病気。世界が自分の方にぐんぐん狭まってきます。普段なにげない身体の隅々が否応なしに意識にあがってきます。自分が手を動かしている不思議を噛みしめながらご飯をつくり、椅子に座って「ほう」と溜息をつくと猫が膝にのってきます。のどを鳴らす猫の背中を撫でながら、今度はその毛の文様の複雑さに驚いてみたりします。

自分の身体や猫の毛。身近なことに感心できる人生とは幸せなものだなあ、としみじみ思った次第です。

豊平豪 2017年2月

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