こう暑いと20年前の南国での生活を思い出します。ぼくはそのころ調査と称して南太平洋のフィジー諸島の村で暮らしていて、いろんな「はじめて」を経験したものです。
映画館の冷房の効きすぎはよくある話ですが、フィジーだと長距離バスも同じ。ただ映画と違って途中で降りることはできません。一度体にかけるシャツもなく、寒くすぎて体が震えだしたことがありました。ふと横をみると100キロを超えたフィジー人の、汗かいたアフロヘヤおばちゃん。ぼくは寝たふりをしてそっと体を彼女に預けました。その温かいこと!おばちゃんも嫌がりもせず冷え切ったぼくの体を預かってくれました。
彼女とは最終的に仲良くなり家までの地図まで描いてくれたのですが、おばちゃんがすっと鉛筆を取り出したのは巨大なアフロヘヤの中。よく見ると消しゴムまである!
バスで凍死しそうになったり、頭ふでばこのおばさんにあったり。この世にはいろんな「はじめて」があるのです。
豊平豪 2019年8月
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