先週末、たぶん十数年ぶりに東京タワーに昇る機会がありました。高いところから眺めると、ビルとビルの合間に三角形や台形の墓地がみえます。一度認識すると、360度どこをみても、隙間を縫うように存在する墓地たちが目に入ってきます。
電車に乗り家路についたわけですが、今度は車内広告に「新宿駅から歩いて3分。都心の室内墓所」の文字。「美術館である。なにより仏教寺院である」(?)とか書いてあって、写真には拾骨室のような白大理石の部屋が映っています。壁の一面からは仏像が飛び出し、その前にはグランドピアノ。「お花やお香はいりません。墓参りに必要なのは登録カードだけ」と続きます。
広告で売りにでているのは「個人墓」「樹木葬」。どちらもぼくにはどんなものかわかりませんし、ましてや「女性専用区画」なんて需要はもっとよくわからない。値段高いし。深いため息が出たのでした。
しかし、室内墓所のことを思うと、なんだか東京が墓だらけにみえてきます。いやはや。
豊平豪 2019年9月
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