暮らすこと

見知らぬ街に引っ越しをしたとき、あなたはまず何をしますか?「暮らし」がテーマだった人類学カフェでは、そんな話になりました。どうやら2つのタイプにわかれるようです。部屋を快適に整える「巣作り」派と、住処が駅からどんな道を通るのかなど確かめる「立地確認」派。なんとなく前者は農耕民っぽいし、後者は狩猟民っぽい、というところでカフェは終わりました。

6年前見知らぬ舞鶴に降り立った時、家の中のことを放って、夕暮れ迫る街を歩きまわったことを思い出します。最初は車がなかったので、自分の足で細かい路地を確認しながら、日向ぼっこしている人たちと話したものです。

「暮らし」の語源は「日暗し」だそうです。日が暮れるまでの特別ではない脈々と息づく日常。人が生きていればどんな街にも「暮らし」があります。そこではそれぞれの日々の営みが互いに関係しながら奇跡のように街をつくっているのです。

豊平豪 2015年4月

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