即興手話

 即興手話は勝手に作りあげた身振りで、ことばを抜きに相手に話しかけます。砂連尾さんが参加者の一人一人に、即興手話で話しかけます。砂連尾さんの動きに自分も合わせていく人、途中で首をかしげて考え込む人、楽しそうに踊るかのような動きを返す人、みんなそれぞれの応答でした。どんな話になったのかを尋ねてみると、面白いことがわかりました。でたらめな手話なのですから、よく分からないのは当然です。お互いの話は食い違っていました。例えば、「緑色が好きなんですね」と話しかけられているのに、「海の魚はこんなふうに泳ぐよね」と誤解したりするのです。お互いが手話をことばにしてみて初めてわかったことです。このギャップも可笑しいのですが、不思議なことに、「ホントにわからなくて・・・」と、ためらい悩んでしまった人の方が、砂連尾さんの即興手話の意味を、かなり正しく理解していたということです。わからない方がよくわかるのは何故でしょうね。

西川勝 2016年3月

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