営みのつらなりに

以前も書いたかもしれませんが、僕は年始年末、愛知県の個人経営の和菓子屋の餅づくりを手伝わせてもらっています。イレギュラーを除いて毎年泊まり込みで一週間程度。気づけば、今回で19年になりました。最初が20歳のときですから僕は40歳になり、当然、一緒に働いていた方々も50代の働き盛りから70代になりました。

 毎年10kgのもち米袋を100袋以上。一部機械を使うとはいえ、変わらないやり方で米を研ぎ、餅をつく。年を追うごとに作業はハードになっていきます。メンバーは脳溢血で来れなくなったり、大変な手術を乗り越えたり。でも、その子どもが孫を連れて遊びに来たり。

僕は人に職業も満足に伝えられない生活をしながらこの歳になりました。でもここに来る度に脈々と続く人間の営みに参加している気がして、心底ほっとするのです。

※前回の「カフェだより」で紹介した多和田葉子さんの本ですが、「遣灯使」ではなくて『献灯使』(けんとうし)でした。よい小説ですのでぜひぜひ。

豊平豪 2017年1月

シリーズとつとつ アーカイブ

0コメント

  • 1000 / 1000