青海波

 みなさま、新年明けましておめでとうございます。年始にあたって、こころに決めたことは何でしょう。ぼくは今年で還暦を迎えますので、ちょっと真面目に考えてみました。初心に戻って、もっと情熱的に哲学に取り組もうと決めました。九鬼周造という哲学者の本をしっかりと読むのです。彼に「青海波(せいがいは)」という短い文章があります。新春に向けて書かれた随筆です。前にも読んだはずなのですが、今度読み直してもよく理解できません。そこで、その文章を一字一句書き写すことにしました。文庫本で5ページですが、小一時間は掛かりました。すると、わからないくせに読み飛ばしていたところが明確に浮かび上がってきました。辞書を引いたり、ネットで検索して調べたりすると、わかってくる一方で疑問も増えてきます。容易に終わらない攻究に胸が弾みます。「青海波」という雅楽の舞に託された無限への憧憬と情熱が、ぼくへのお年玉になりました。

西川勝 2017年1月

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