前回「かんじんなことをきかない」インタビューについて書きました。きき出したいこと自体を直接ではなく、そのまわりからふんわりとあぶりだす。その方が相手の真意を想像しやすいという話でした。
ことばの不思議にも気づきやすい。たとえば「子育て」。「いやー大変ですよねえ」と言われたら、それ以上でも以下でもありません。
でも、直接きかずに、そのほかの何気ない質問の返事から相手の子育てを想像してみましょう。どうやら、自分の子どもではない子ども大勢と住んでいる、かと思えば、一人の子どもに「親」が何人もいたり。以上はぼくが調査していたフィジーの話ですが、ちょっと思っていた子育てとだいぶ違います。そんなときはこちらの「子育て」の定義自体をゆるやかに修正していくわけです。
ことばの向こう側にはとんでもない世界がひそんでいます。「ふんわりとゆるやかに」に向き合うこと。そんなとき、ことばの不思議が顔をだすのかもしれません。
豊平豪 2017年8月
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