12月のカフェではぼくが観た映画の話をしました。その流れでもう一本。コメディアンのジョーダン・ピール監督のホラー映画『ゲット・アウト』です。ある黒人男性が恋人の白人女性の家に休暇を過ごしにいくのですが、この家が少し変わっています。黒人だけが使用人なのもおかしいのですが、どうもその黒人たちも「黒人らしく」ない。主人公はその謎に巻き込まれていきます。
よいホラー映画には必ず現実の社会批判が含まれていますが(だから怖い)、この映画の場合、差別や偏見に我々が相対することの難しさを描いています。この不思議な家の住人は決して差別主義ではありません。むしろ平等主義で黒人大統領を積極的に支持するような「よい人」たちです。でもその行動で黒人たちは黒人であるがゆえに苦しんでしまう。無自覚の差別がそこにあります。自分では気づくことのできない差別。怖いですねぇ。他人との対話にはその洗い出しという意味もあるのかもしれません。
豊平豪 2018年1月
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