自分遊び

 3月の「とつとつダンス」は科学技術と遊んでみました。キネクトという機械の前で身体を動かすと、自分の姿が棒人形として投射されます。

 自分の動きが画面に反映されるのですが、ビデオで見るように姿形が忠実でないところが面白い。自分であることは確かなんだけど、ちょっと違う。いや、だいぶ違う。自分と同じように動くと思ったら、微妙に裏切られたりする。自分の予測が不意に屈折させられる。自分の射影と遊ぶのが楽しいのは、自分が謎めいてくるからでしょう。

 遠い記憶にある影遊びが思い出されました。人恋しいときの自分遊び、少し慰められて、やがて少し寂しくなる。誰も居ないところにひとり居ても、人は相手を望むもののようです。自分を何かに託して誰かに受け取ってもらう、ときには自分がそれを受け取ることもある。合わせ鏡の中の自分です。

西川勝 2013年4月

シリーズとつとつ アーカイブ

0コメント

  • 1000 / 1000