ぼくは看護師を長くしていたので、数えきれないほどの人の脈拍測定をしてきました。看護学校では、脈拍測定の意義や方法などをみっちりと勉強しました。看護師としての経験を積むに従い、患者さんの状態を知るための大切な情報として脈拍を考えるようになりました。でも、まだまだ知らない脈拍の意味があったのです。砂連尾さんが教えてくれました。
とつとつダンスで、相手の脈拍に触れてから、その脈拍を踊ってみせると云うワークをしたのです。脈拍を踊るためには、医学的な側面の情報だけでは足りません。自分の指先が感じた相手の脈拍、すなわち生命の躍動を、自分の身体全体で表現するのです。看護師としての脈拍測定は自分に影響しませんが、ダンサーとして脈拍に触れると、自分の身体が踊りだすくらいに、相手の生命が自分に共振してきます。相手の身体に触れることの意味を再発見する日になりました。
西川勝 2013年9月
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