愛ということばは、ふだんは照れくさくて口にできないことが多い。が、「愛のレッスン」という名前の公演を企画してからは様子が違ってきた。いつも愛がぼくの頭を駆け巡っているのだ。頭でわかるとは思わないのだが、気になって仕方ない。愛に関する名文句は山ほどある。そのなかで、何度もうなずきたくなることばがある。
「愛は確かめるものではなくて、育てていくものだ」という警句は、自分が傷ついたと感じたときには必ず思い出したいことばだ。育てることが愛であり、育てることは待つことだ。待つことができなければ、愛は遠ざかっていくばかりになる。
砂連尾さんと一緒に「ぐれいす村」を訪ねるようになって、いろんなことがあった。ふと、気がつけば、ぼくたちは愛されていると思えるようになっていた。目には見えない大切なことを、育て合ってきたのだ。とつとつダンスから育ってきた「愛のレッスン」を、ぼくは心待ちにしている。
西川勝 2014年3月
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