「愛のレッスン」を振り返って

 昨年の舞鶴から始まったダンス公演「愛のレッスン」が大阪、東京と続き、今年の仙台公演で一区切りがつきました。とつとつダンスワークショップが発展したダンス公演ですが、毎回の演出に新しい工夫が加わり、未知の局面を切り拓きました。

 仙台公演では、砂連尾さんのパートナーである岡田さんが急な体調不良によって出演が中止になりました。作品は大きな痛手を受けるはずでした。しかし、仙台公演における岡田さんの不在が、「愛のレッスン」を欠損させる原因にならないようにしたい。そのための努力が強い信念で取り組まれました。

 仙台公演では、砂連尾さんは土俵で見えない相手と必死に取り組んだ後、荒ぶる息を押さえ込みながら、ニジンスキーという伝説のダンサーが書き残した苦しい愛の詩を朗読します。この声に応じて、舞台に岡田さんの見えない姿が現れてきたのです。不在の先に届ける愛のレッスン。愛は容易には完成しないけれども、不可能に陥ることは決してないことを学びました。西川勝 2015年2月

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