声を身体に届ける

私たちは言葉で多くのことを伝え合っていますが、素通りしてしまう言葉も多いのではないでしょうか。日本語には「身に沁みる言葉」や「腑に落ちる言葉」という表現があります。声の言葉を身体に根づかせるためにはどうすれば良いのでしょうか。とつとつダンスワークショップで考えてみました。

砂連尾さんが「言葉を相手の身体に練り込む」という課題を出しました。相手の身体をさすりながら、または手のひらを揉みながら文章を読むのです。語りかける方は戸惑いもありましたが、言葉を聞く側の人は、確かに自分に向けて語りかけられている実感があったのです。

まだ言葉を覚えていない頃の私たちは、まわりの大人たちに身体を抱かれながら、自分のあちこちに触れられながら、大人の声を聴いていたのです。哺乳類として生まれた私たちは、相手の肌の温もりと同時に声の響きを身体に染み込ませてきました。このあたりに声を身体に届けることのヒントが見つかりそうです。

西川勝 2016年8月

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