見ると見える

 6月のとつとつの課題は、「5分間じっと相手を見つめて、そこから、どんな色や模様が浮かび上がってくるか?」でした。はじめは不慣れな緊張感に襲われてしまいます。見ていること以外に、なにが浮かび上がってくというのでしょうか。それでもワークの後には、いろんな意見や感想が出てきました。本当かなあ、と半信半疑になりそうでしたが、よくよく考えてみると有名な絵画のうちには、実際とはかけ離れた色や模様で、なおかつその顔が迫ってくる人物画があります。きっと画家の感性は相手を見つめることによって浮かび上がってきた色や形に従って筆を執ったのでしょう。自分の関心注意で対象を見ることから対象に導かれるように自分の関心を広げていくことで、自分の「見る」世界よりも広くて深い「見える」世界へと招かれるのでしょう。見ると見えるの狭間に、もっと目を凝らしてみたいものです。


西川勝2018年7

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