空き地とホステス嬢の独立心

 車をよく停める空き地にすごく棘のある草が生えていて、気づくと足に引っ掻き傷がある。葉っぱの先から花のつぼみ、茎まで棘。なんとなく毎日眺めていると、どんどん大きく広がって、きれいな明るい紫の花も咲いた。

 ふと友人に名前をきいてみると「あざみ」とのこと。聞いた瞬間、脳内にあったことばたちがざわめき立ち、ぐいぐい点つなぎみたいにつながっていく。スコットランドの独立心を意味する国花。中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」。単なる知識だったものが手触りをもちはじめる。

ことばから学んだ知識はやはりことばとして頭のなかにストックされている。基本的に現実とのつながりはない。でもちょっとしたきっかけでつながって、空き地に咲く野の花から、外国の独立闘争を想い、ホステス嬢の人生に想いをはせることもできる。しまいには、空き地までよくできた線描画のように細部から浮かび上がってくる…。

さて、という暇つぶしの話。いやー暑いですね。


豊平豪 2018年7月

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