なじむ時間

 前回の西川さんの講演のテーマは「わかる」でした。「知識を得る」のと「わかる」のは違う。西川さんは『星の王子さま』のキツネの言葉を引用していました。「自分が<なじみになる>ものしか人は知ることはできないんだよ」と。

 あなたの職場で何か問題が発生したとします。中には問題をすばやく判断する人がいるでしょう。すっと解決策とか出すかもしれません。でも、たぶん納得いかなくて黙っている人もいます。もしかしたら一週間くらいしても「うーん…」とうなっているかもしれません。

<なじみになる>には時間がかかり、そうなるとおいそれと断言できなくなります。何にせよ共感できるところはあるし、納得できないところもあるから。それで困っちゃうわけですが、そこをくぐり抜けないと「わかる」こともない。今はぱっと答えが出せる方が評価されがちですが、それって「わかってる」のでしょうかねえ。たまには「うーん」の先も見ないといかんように思うのです。


豊平豪 2019年6月

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