文化人類学にはフィールドワークがつきものです。存在証明といっても言い過ぎではありません。ミソ汁にとってのミソ、カツ丼にとってのカツみたいなものです。
先月いったとおり、文化人類学では興味の対象となる<未知の現場>を調査します。それがフィールドワークですが、もっと難しい言い方だと<参与観察>といいます。意味は「積極的に参加して観察する」。他人事のように観察するのではなく、現場で起きていることのまさに渦中で調査します。
たとえば、とある村の「祭り」の調査をするとします。一番大事なことは住人にとっての「祭り」を「彼らの肩ごしにみつめること」です。そのために祭りのメンバーになり、会合や飲み会があれば、メモを片手に飛び出していろんな話を聞き出し、状況のままに記録します。調査モードは滞在中常に発動していて、何気ない日常のやり取りですら貴重な資料です。「状況のままに」がミソやカツの主要成分ですが、それはまた次回。
豊平豪 2017年5月
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