6月29日の文化人類学カフェは「風景」がテーマでした。カフェマスターの豊平さんが関わっているプロジェクト「種は船」と「船は種」の話から楽しく考える時間になりました。
種の形をした不思議な船〈TANeFUNe〉が、今年5月に舞鶴を出港して新潟に向かっています。驚くほどゆっくり進む船は、海上と陸地の風景を一変させる力があります。高速だけが新しい世界を切り拓くのではないのです。普通の船のように母港に戻らない〈TANeFUNe〉は、多くの港で人のつながりを生み続けて進んでいます。陸から応援に行くスタッフには見知らぬ港も、〈TANeFUNe〉が停泊していることで懐かしい風景になるそうです。
風景が時とともに移り変わっても、そこに関わる人々によって馴染みは増していきます。そう考えると、風景は人の顔と同じなのかもしれません。はじめての顔も、親しみのある顔も、あなたをまなざす私の顔と一緒に変化していくのですね。
西川勝 2012年7月
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