目は口ほどにものをいう、ということわざがあります。目の働きは見ることだと思われているのに、不思議ですね。でも、まなざしを誰かに向けることには、必ず意味が生まれてきます。「みる」を漢字で書いてみると、「見る」「観る」「視る」「覧る」「診る」「看る」とさまざまです。漢字では表現しきれないこまやかな意味もあるでしょう。
とつとつダンスで、まなざしで会話するワークをしたとき、目のことばを聞いたのは、そのまなざしを受ける目でした。目は聞くこともできるのですね。目があう、目がかちあうときの音を聞くのです。
立川昭二さんの『からだことば』という本によると、まなざしをフランス語ではルガール(regard)といい、動詞になるとルガルデ(regarder)で、「考える」という意味があるそうです。相手をどんなふうに考えているのかが、まなざしに込められています。声もなく見つめ合うあいだに、どんな会話があったのか、ゆっくりと考えたいものです。
西川勝 2013年11月
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