なにかを見て、それになるダンス

 砂連尾さんのダンスワークショップは、いつも不思議に満ちています。今回のお題は、「みゆきさんを見て、みゆきさんになる」「椅子を見て椅子になる」「時計の秒針を見て、秒針になる」「照明の光を見て、光になる」でした。

 ふだんの暮らしでは聞いたこともない課題ばかりです。これを奇妙でばかばかしいと思ったら、なにも生まれてきません。先の見えない不安のなかで、わくわくする感性と知的探求心が大切です。

 さて、結果はどうだったでしょう。参加者のみなさんは真剣に取り組みました。そして自分が感じたことや考えたことを、みんなと一緒に話し合いました。わかったことは、「見る」と言っても何を見るのかによって、まったくその見方と感じ方が違うということでした。見る自分が、見つめる相手によって変化するのです。見つめ返す相手、じっとしている相手、規則正しく動く相手、輪郭のあやふやな相手、相手に応じて出現する新しい自分を発見することができました。

西川勝 2012年11月

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