タイトルにある「F陣形」という言葉を知っている人は少ないでしょうね。ぼくも砂連尾さんから初めて聞きました。後から調べると、3人以上の会話を分析する際に用いられる学術用語でした。実際のワークでは、グレイスの岡田さんに参加者が二人で何らかの関わりをして「嫌な気分、ぞわぞわする空間」を生み出しましょう、という課題が出されました。岡田さんの周囲で二人は奇妙で理解しがたい振る舞いを続けようとします。が、ぼくが見た岡田さんの表情は冷静でした。
さて、ワークの後の話し合いは、うまく言葉にできないもどかしさに満ちていました。課題が要求することの難しさもありますが、3人以上のコミュニケーションになると反省が一気に困難になるのです。自分の注意は常に制限されていて、その場で起きていることのすべてを思い出せないからです。でも、翻って考えてみれば私たちの日常は言葉で分析しきれないほどの豊かさと謎に満ちているということなのでした。
西川勝 2016年9月
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