海ホタルの島で

　ぐれいす村の「シリーズとつとつ」には常連の人たちがいる。そのうちの一人、木村衣里さんが、香川県三豊市の粟島芸術家村で活動している。島民との交流を通じてアート作品を創りあげるもので、木村さんは7月から島にいる。彼女の応援に、ぼくは粟島を訪れた。舞鶴から豊平さんと大工の田中さんもやって来た。いつもは舞鶴で顔を合わすメンバーが、粟島という小島で一緒になるのは不思議な感じだった。しかし、「愛のレッスン」公演も、大阪、東京、仙台で、舞鶴の仲間たちと時間を共にしたのだ。

　粟島の海には「海ホタル」がいる。ぼくたちを歓迎する宴会の後に、これを見せてくれた。島の女性が月夜の浜に出て海ホタルを呼び寄せてくれたのである。海ホタルは刺激を受けると青白い光を発する。すくい上げた手のひらに星空が写るように輝く海ホタルは、夜の海が隠していた宝物だった。

　10月17日から25日の間、粟島で木村さんの発表会があることをお知らせしておきます。

西川勝　2015年10月